知り合いのWEBプロデューサーの方と何かの流れで農業の話をしているときに、「すごいリンゴ農家の話がある」といって紹介してもらったのがこの本。
何気なく読み始めたのですが、この人はすごい。
泣きました。
NHKのプロフェッショナルで取り上げられた青森の木村秋則さんというリンゴ農家の方が、「無農薬リンゴ栽培」(有機栽培ではなく全く農薬を使わない)にチャレンジして、10年近くかかってそれを成し遂げるまでの物語をノンフィクションライターの方が書いた物語なんですが、その10年間のチャレンジというのが半端なものではないんです。
リンゴという果物は4000年くらい前から食べられていたみたいなんですが、当初は今よりはるかに小さくて酸っぱい果物だったのを、19世紀に植物の交配術が確立されてから品種改良を重ねて今のような甘くおいしい果物になったそうです。その過程で農薬の発明もあり、今や我々が食べているリンゴは農薬を使って栽培をしないとすべて害虫に食べられてしまってまったく収穫ができないそうなんです。木村さんは、奥さんが体質的に農薬に弱いという事情や、偶然の本との出会いなどから、「なんとか全く農薬を使わずにリンゴを作れないか」と思うようになります。ちなみに、お米とか他の作物は比較的無農薬でも栽培できるものはあるみたいなんですが、あの甘くて木になっているリンゴは特別難しいということのようです。
私が一番衝撃を受けたのは、その10年間のチャレンジの間の木村さんの粘りとそれを支える家族です。
詳しくは書きませんが、これはさすがにへこたれそうだなというエピソードが一つや二つじゃなく、たくさんたくさん出てきます。私はプロフェッショナルの映像は見ていませんが、本の記述だけでそれがいかに大変であったかは伝わってきました。
プロフェッショナルの木村さんの映像を見て、自殺をしようと思っていたけど思いとどまったという若者から電話をもらって
「死ぬくらいならその前には一回はバカになったらいい。ひとつのものに狂えばいつか必ず答えにめぐりあうことができるんだよ」
といったそうです。
「狂う」ほど一つのものを追いかける。
なかなかできることではありません。
すごい話にめぐりあいました。