意味ありげな小さめのカバーを取ると、大手出版社と思しき大きなビルの前にうず高く積ったがれきの山の表紙(ストリートビューで探すもどこのビルかはわからず)。
湯川さんのブログで紹介をされていたインフォバーン創業者の小林氏の新著。
雑誌や新聞などの既存紙メディアの今後についての考察がメインのテーマですが、ネットの世界でメディアに取り組む人にもとっても参考になるくだりがたくさんあります。
「なによりも大切なことは、そのコミュニティの『温度』を感じ、感覚的に『刺さるコンテンツ』をセンスし、人の流れを理解することを肝要」
「電子メディアは、(中略)あっという間に市場が飽和する可能性があります。「ゼロサム・ゲーム」ならまだマシですが、新規参入者は広告費のダンピングや寝ないで働くという無茶をするので、場合によっては「マイナスサム・ゲーム」のような事態が起こりうるかもしれません」
「「誰でもメディア」のチャンスとは、紙の出版がやらなかったことの中に埋もれていることが多い」
「編集とはその対象と分かち合う相手への「愛」。そして、技術や見た目へのオタクなまでの情熱やこだわりを指すのかもしれません」
「電子コンテンツの難しい点は、フローが高まることで、価値の逓減も早くなることです。これをわたしは「電子メディアの収穫逓減」と呼んでいます」
「自分自身がそれを信じていないことには、まずメディアは始まらないといっても過言ではありません。そして、いざ始めたら、何に縋ってでも継続させ、生き残ることです。ビジネス的にはすぐ撤退したほうが合理的なこともあるので、見極めこそ肝心ですが、メディアというものは育つまでにはとにかく手間と時間がかかるものです。(中略)「メディアを創出したい」という、”怨念”のような非合理さがドライブしてきたものと推察されます。」